慢性期の患者にしっかり向き合い
細やかな呼吸ケアを通じて
残された人生の可能性を広げる
大阪市出身、京都大学卒。研修後は福井赤十字病院にて勤務、大学院での臨床研究を経て南京都病院へ。趣味は剣道。医師として大事にしているのは「穏やかな気持ちで患者さんと接すること。そのためには自分自身の気持ちも安定していなければ、と思っています」
編集部より…
子どものためになることを尋ねると「裏付けのないことは言えませんが」と前置きしつつ、「はっきり言えるのは、親がタバコを吸わないこと」。「受動喫煙は明らかに身体に悪い。加熱式タバコも紙巻きタバコと同様です」とのこと。
呼吸ケアで人生を豊かに
呼吸器疾患において、京都府下でも有数の診療体制を誇る南京都病院。呼吸器センターの角謙介診療部長によると、病気の進行が穏やかな慢性期の患者にじっくり向き合っている点も大きな特徴だという。「特に呼吸状態が悪い場合には動くのがしんどいですから、すぐに寝たきりになってしまう。それを長期でしっかりとケアすれば、自宅へ帰って自分の時間を持つことができるんです」。慢性呼吸不全に幅広く適応する人工呼吸療法NPPVは、在宅でも可能だ。「従来は息苦しいまま亡くなっていた方が、この技術で何年も余生を送れるようになったのは、本当にすごいこと。実際、在宅酸素療法をしてから20年ほど元気な方もいらっしゃいますよ」
最期の言葉が表す南京都の真髄
慢性期の患者には高齢者が多く、そのまま終末期へと向かう場合もある。長年診察を続けた患者の最期に立ち会うことも少なくない。「亡くなられた後で、ご家族の方が『病院に行く日は、角先生に会いに行くんやってニコニコしてたんですよ』と思い出話をしてくださったことがあって。本当にありがたいですし、身が引き締まる思いです」。最期まで笑顔で過ごせるよう、家族のように寄り添い、手を尽くし心を尽くす。それが角部長の、ひいては南京都病院の信条だ。
慢性期患者の受け皿として
南京都病院の呼吸器センターでは、ほぼ全ての呼吸器系疾患の診断と治療に精通したスタッフが揃い、他の診療科との連携も緊密に行う。疾患そのものの治療はもとより、栄養状態、身体的あるいは精神的苦痛など、予後の改善にも注力する。「病院は現在、治療期間の短い急性期に対応する病院や、もしくは長期療養となると寝たきりの高齢者の方を診るような病院は比較的多いのですが、その中間が少ないんですよ」。例えば酸素の量を調整しながら身体を動かす呼吸器疾患のリハビリは2週間程度が一般的だが、同院ではそれにこだわらない。「患者さんの状態次第では1ヶ月かけたりなど、腰を据えてしっかりリハビリを行います。患者さんと一緒にがんばって、もう少しリハビリすれば絶対にもっと良くなるから、と」
呼吸器センターの展望
「慢性呼吸不全の患者さんの中には、きちんとした医療さえ受ければ、活動範囲が広がり、豊かな人生が送れるはずの方がまだたくさんいらっしゃいます。呼吸器センターはそういうった方々にしっかりと医療が提供できるようにという理念でできたものなので、しっかりと広めていけたらと思っています」。南京都病院では地域の開業医の方を対象に、毎月webなどで各診療科の地域連携セミナーも行っている。「過去にはセミナーで話し終えた直後に患者さんを紹介されたこともあります。呼吸器センターとしての魅力を発信することで、若いドクターが勉強しに来てくれることも増えています。今後は、そうやって次世代へとつなげていけたらと思っています」
名称: | 独立行政法人 国立病院機構 南京都病院 |
所在地: | 〒610-0113京都府城陽市中芦原11 |
電話番号: | 0774-52-0065 |
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※取材時は全員マスクを着用し、距離を置くなど可能な限りの感染拡大防止対策を行っています。