門川大作市長に聞く
京都市の医療における、現状とこれから。

京都市 /門川 大作 市長

京都市立堀川高等学校卒。1969 年 京都市教育委員会採用、1974 年に立命館大学二部法学部卒業。京都市教育委員会総務部長、京都市教育委員会教育次長、京都市教育委員会教育長を歴任。2008 年 京都市長に就任(現在4 期目)。座右の銘は「人間浴」。「日光浴や森林浴で元気をもらうのと同じように、人の力を浴びて、元気をいただく、学ばせていただく。人間もいろんな人がいますが、それを嫌だと思ったら苦痛になるだけです。しかし、人間浴だと思えば、学びの機会になります。困難にも正面から向かえば、必ず道は開けます。苦しいことも後から思えば、そのおかげで今があると思えるようになる。そう自分に言い聞かせています」。

京都市における医療体制の現状について教えてください。

京都市では、急性期、回復期、慢性期など、病態に応じた病床数が十分に確保されており、一般診療所の数も、政令指定都市の中で3番目に多く、医療の質も高いです。また、人口10万人あたりの医師等医療従事者の数は、全国でもトップレベルです。厳しい財政状況ではありますが、看護学科の学生さんへの修学資金の融資や、離職看護師への復帰支援事業などにも取り組んでいます。

医療体制の充実は、私たちにどのようなメリットがありますか?

地域の医療体制が整っていることで、新型コロナワクチンの接種が安全かつスムーズにできました。医師会や私立病院協会はじめ医療関係者等と、しっかりと連携し、地域の診療所や病院における個別接種、拠点となる病院や公共施設などでの集団接種の体制が整っています。

京都市における新型コロナワクチン接種状況はいかがですか?

令和4年3月時点で、2回目接種を完了された方が対象人口(12歳以上)の8割を越えました。3回目接種については、対象人口(18歳以上)の5割の方が受けられており、特に65歳以上の方は8割を超えました(令和4年4月当初)。一方で、若い人のワクチン接種の関心が低く、啓発も含めて全力投球しています。

新型コロナウイルス感染症について、京都市独自の対策を教えてください。

京都市では、保健所の集約化を図り、正確な情報を一元的・迅速に管理することで、保健所の機能・体制強化を図っています。さらに、各区役所・支所14箇所に保健福祉センター等を設置、保健師は346人、人口一万人あたり2.4人と20の政令市平均1.6人に対し最も多く配置するなど、充実した体制を築いてきました。コロナ禍では最大562名という全庁あげての保健所への応援体制をつくり、また、臨時の保健所業務に応援いただく、看護系大学等の専門職による応援チーム「京都市版IHEAT(アイヒート)」も結成。これらにより、感染の全体像や病気の特徴などを調べる積極的疫学調査など、専門職のマンパワーを必要とする業務をより迅速かつ適切に実施できました。さらに、全市的な調整が必要な、京都府入院医療コントロールセンターとの、入院・入所調整、医師会等と連携した受診や検査体制の構築や拡充などにより体制が確立し、命・健康を守っています。

新型コロナウイルス感染症の流行で見えた、京都市の医療体制の課題とは?

感染拡大期に医療機関がひっ迫し、搬送困難事案が増加するなど、一般医療とコロナ医療の両立が課題です。新型コロナだけでなく、医療全体を見据えた体制確保のために、京都府と連携し、拡充を図っていく必要があります。

今後、新たな感染症が発生した場合の備えについて教えてください。

新型コロナ感染症対策として行ってきた、京都府や京都府医師会、私立病院協会などと連携した病床などの確保、受診や検査体制の構築、全庁を挙げた応援体制の構築、民間の力を活かした保健所体制の強化など、この間の経験をしっかりと活かしてまいります。今回のような大規模な健康危機事案が発生した場合も、必要な人を必要な医療につなぐ体制を迅速に構築し、市民の命と健康を守り抜くことが重要と痛感しています。

 施設情報
 名称: 京都市役所
 所在地: 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488
 電話番号: 075-222-3111(代)
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