実直に、できることを確実に。
心の視点を大切に、
患者さんに寄り添う医療を

洛和会音羽病院 神谷 亨 院長

静岡県出身、名古屋大学医学部卒。卒業後は国内だけでなくアメリカの病院および大学病院において内科の研修医、感染症科のフェロー(後期研修医)として経験を積む。2007年より洛和会音羽病院に勤務、総合内科および感染症科の部長、副院長を経て、2021年10月院長就任。日本内科学会総合内科専門医、日本感染症専門医、米国内科専門医、米国感染症専門医。

編集部より・・・
病院スタッフから気さくに話しかけられる神谷院長。撮影後「僕、大丈夫でしたか?」と取材スタッフを気遣うなど、誰に対しても変わらず接する、親しみやすく温かい院長の人柄が伺えた。

合理的で質の高いER型救急診療

最も高度な救命救急医療を行う三次救急医療機関として、地域医療に貢献する洛和会音羽病院。ここで行われているのは、全国でも数少ないER型救急診療だ。その大きな特徴は、ER救急医が診療科に関わらず全ての救急患者の初期診療を行い、必要に応じて専門医に引き継ぐという体制を取っていること。救急搬送される患者が全て重症とは限らないし、自力で病院に来たからといって軽症とも限らない。ER型救急では救急医がそれを見抜き、適切な初期対応を行うことで、無駄を省き、状況に応じた柔軟な診療が可能になる。

安定した医療の永続性を目指して

当然、ER救急医には、重症度を判断する鋭い診察力と、幅広い知識や経験が必要となるが、そもそも救急医は数が少ないのが現状だ。洛和会音羽病院では、各診療科の若手医師や研修医、医大からの非常勤医師なども救急を支えているが、それでも100%の患者受け入れは難しいという。「もちろん、気持ちの上では全て受け入れたいという思いはあります」と、神谷亨院長。「絶対に断らないという姿勢でがんばっていた時期もあったんですが、そうすると、現場で働くスタッフの負担が大きくなってしまうんです。医師が疲弊すると結果的に、患者さんに不利益が生じてしまうので、職員の健康と、地域医療における私達の役割を、しっかりバランスを取ってやっていく必要があると思っています」。

医療従事者に大切にして欲しいこと

洛和会音羽病院が2012年に近畿の民間病院で初めて救命救急センターに指定されて以降、今年で10年を迎える。その間の医療機器や技術の進歩は目覚ましいものがあるが、だからこそ、一人ひとりの患者に寄り添う対応も大事になってくる。「データだけを見て判断するのではなく、人をしっかり診ることができる医師を育てたいと思っています。知識や技術だけではなく、心の視点を持った医療従事者を増やしたいというのが、私がこれからやりたいと思う仕事のひとつです」。洛和会音羽病院が掲げるビジョンは、「地域から信頼され、大切な人を紹介できる病院へ」。誠実で優しさあふれる神谷院長の人柄に触れ、その実現がそう遠くないことを感じさせられた。

 仕事場拝見
院長就任時に記した色紙。「もう駄目かもしれないと思っても、いつか良くしていけると信じてやっていかないといけないと思うんです」。
新型コロナウイルスと闘う職員に向けて、地域の企業や学校、幼稚園・保育園などから多くの応援メッセージが届く。院内に掲示し、日々の励みに。
職域接種も含め、7月には7000人もの接泌尿器科や婦人科の手術で使われている手術支援ロボット「ダヴィンチ」。将来的には呼吸器外科などの手術での使用も視野に入れているという。種を行うなどワクチン接種にも大いに貢献。医療スタッフ用のチームTシャツは、一致団結のシンボルとして、接種の際に着用する。
洛和会音羽病院の救命救急センター・京都ERが目指すのは「患者の立場に立った救急」。どんな病態でも対応できる、柔軟な救急診療を行う。
 施設情報
 名称: 洛和会音羽病院
 所在地: 京都市山科区音羽珍事町2
 電話番号: 075(593)4111(代)
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